壇洋一ブログ

2012.7.4

南仏で生まれたプロヴァンス住宅

フランスの南部を代表するプロヴァンス地方は、ローヌ川からイタリア国境までの地域を指します。

穏やかな地中海性気候に恵まれ、夏は乾燥して日差しは強く、冬は比較的穏やかです。ただ、時折、ミストラルという台風のような強い風が吹くのも特徴です。

この地方は、変化に富んだ地形が美しい風景を創り出していて、おもな産業は、歴史的にも農業従事者が多く、そこで生まれたプロヴァンス住宅の原型は、シンプルな四角形の農家の家から変化してきました。

夏の暑さを避けるプラタナスの木陰や、南庭には葡萄棚。ミストラルから家を守る重厚な木製雨戸。そして、セザンヌやゴッホなどの画家に代表されるパステルカラーの発達などは、その地域の気候や生活習慣に根付いたものです。

この地域では、100年以上たった家に住むことは普通のことで、建替える概念はなく、世代を超えて住み続けられる住宅は、経年美と言う概念を併せ持ち、住めば住むほど醸し出す家の風格に価値を見い出しています。

プロヴァンスはフランスでも有数の観光地。世界中から多くの観光客が非日常を楽しみにくる地域です。

そのような場所に建つ自然素材をつかった手づくり感溢れる建物も魅力の一つ。そのアイテムが自分の日常に組込まれるだけで避暑や癒しを楽しむような雰囲気にさせてくれるものです。

プロバンス風住宅では、家の完成は、気持ちよく楽しく暮らすための始まりに他なりません。

少しずつ改善、改良していくイメージで暮らすことで楽しむことができます。インテリアグッズや、アンテイークを飾ってみたり、日ごろの小さな変化を楽しんで、予算が許せば、時には内外装に手を入れるなど、常に新しい閃きを実践することで、いつも新たな気持ちで暮らしていけます。

そして、古くなれば古くなるほど、愛着が湧き心地よい空間が家族を包んでくれる「経年美の家」になるでしょう。